一般社団法人の基金制度とは、社員(会員)や外部の出資者などから「返還義務のある資金」
を受け入れて、法人の活動資金として活用できる仕組みです。
1. 基本的な仕組み
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一般社団法人は株式会社のように「資本金」という概念がなく、原則として社員から出資を受ける制度もありません。
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そこで資金を集める方法の一つとして、**「基金制度」**を使うことができます。
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基金はあくまで貸付に近い性質を持ち、「将来返還することを予定した資金」として受け入れます。
2. 基金制度のポイント
項目 | 内容 |
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法的根拠 | 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第131条~第142条 |
性質 | 無利息が多いが、有利息設定も可能 |
払戻し時期 | 定款や基金契約で定めた時期・方法による |
募集対象 | 社員・法人・第三者(個人や企業) |
資金の用途 | 運営資金、事業資金、設備投資など自由 |
会計処理 | 貸借対照表では「負債」として計上 |
3. メリット
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初期資金を大きく確保できる
設立直後でも基金契約を結べば資金調達可能。 -
非営利型でも導入可能
一般社団法人は営利分配できないが、基金は返還できるため資金協力者を集めやすい。 -
所有権移動なし
株式のように議決権を与える必要がない。
4. デメリット・注意点
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返還義務があるため、長期的な返済計画が必要。
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手続きが複雑
定款に基金制度を導入する旨を記載し、基金契約書を作成する必要あり。 -
資金繰りリスク
返還時期が集中すると資金ショートの恐れ。
5. 基金制度導入の流れ(概要)
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定款に基金制度の条項を盛り込む(または変更する)
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基金募集要項の決定
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基金契約書の締結
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資金の払込み
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会計処理(負債計上)
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返還時期が来たら契約に基づき払戻し
💡 まとめると
基金制度は、株式会社の出資金と異なり「議決権や所有権を渡さずに、将来返す約束で資金を集める」方法です。
非営利型の一般社団法人でも、事業規模拡大や設備投資時に有効な資金調達手段になります。
基金とは
一般社団法人は、株式会社等と違い「資本金」というものがありません。
また、設立に際し財産の拠出も求められていません。
要するに、制度上拠出金なしでも一般社団法人の設立が可能です。
ただし、一般社団法人も活動する上で資金が必要になるため「基金」という制度が設けられています。
資本金との違いは、
・一般社団法人が拠出者に対し返還義務を負う
・登記されない
・基金制度を採用するかどうかは任意
基金の募集
基金の募集を行うためには定款にその旨を定める必要があります。
設立時に基金の募集をする場合は、設立時社員全員の同意が必要となります。